「自分が言いたいことを相手に伝える」って結構難しいですよね。私は営業職をしているので、日々いろいろな方とお話をする機会があるのですが、いつも悩んでいます。周囲には「伝えるの、得意だよね」なんて励ましてもらいますが、本人としては全然うまくできている感覚がありません。日々、日々、悩んでいます。
そこで先日「アサーション・トレーニング」というのを受けてみました。これは「自分も相手も大切にするやりとり」のためのトレーニングです。今日はここで私が学んだことをみのり視点で共有します。
音声で聞きたい方はこちら自己表現における文化の違い
コロナ禍でオンラインでの会議が増える中、ちょっと気づいたことがあります。外国人より圧倒的に日本人の方がカメラOFF率が高い!
仕事で外国の方とオンライン会議することもあるのですが「それどこだよ!」とツッコミたくなるような場所からや「そんな顔でカメラONにしなくても・・・」という疲れた顔や真っ暗闇の中の顔でもカメラをONにしている相手をよくみます。ただ、日本の方でそういう人はほとんど見ません。むしろだいだいカメラOFFです。
これって、明らかに文化の違いですよね。どんなカタチであれ、自分の存在をしっかり明示することに意味を見出している人が外国には多いように思います。日本の方もその意味がわからないわけではないと思います。ただ「相手のことを思ってカメラOFF」なんじゃないでしょうか。「こんな顔でカメラONにしたら失礼なんじゃないか・・・」といった相手のことを思って、自分の存在を主張することを後回しにしてしまう傾向があるように思います。
でもそのせいで、相手にその人の状況が全然伝わらず、損していることもあるかもしれません。例えば、すごーく疲れた顔だったり、明らかに真夜中にも関わらず参加していることが分かると、こっちも人間なので自然と気をつかいますし、ケアしたい気持ちも生まれます。それがカメラOFFでは壁にむかって話しているような感じで、コミュニケーションの質をあげるのがとてもむずかしいと思います。
自己表現の3つの方法
自己表現には3つの方法があるので、それぞれ説明します。
1. 非主張的 = ノンアサーティブ
日本人によくみられる「相手を大切にするが、自分を大切にしない自己表現」は「非主張的=ノンアサーティブ」と言います。
「他者尊重は美徳」という文化が根底にあり、言わなくてもわかるはず、周囲の評価を気にするあまり自分の気持ちが分からなくなるということも起きます。
それが行き過ぎて不快な感情を溜め込むと、ある日突然それが溢れ出し、自罰的になるとうつ病や心身症をひきおこし、他罰的になると八つ当たりという現れ方をしてしまいます。
2. 攻撃的 = アグレッシブ
意図的にこういうことをする人はトランプさんくらいだと思いますが、多くの人がストレスなどが引き金となって「自分を大切にするが相手を大切にしない自己表現」をしてしまうことがあります。これを「攻撃的=アグレッシブ」と言います。
ストレス以外でも「どうしても自分の意見を通したい状況」や非主張的な自己表現の行き過ぎた結果として「過度に防衛的になる状況」で見られます。
トランプさんもそうですが(汗)、残念なことにこういう人は自分が攻撃的な自己表現をしていることに気づかないことが多いです。なぜなら、自分の言ったとおりにことが進んでいくので、それでいいと思ってしまうのです。本当はその人を恐れて、もしくは無理やりやらされているだけなのに、「みんな、分かってくれたのだ。私は正しいのだ。」と思ってしまうので。
トランプさんのことを思い浮かべて半分笑いながら、自分にも何度かそういう経験があったことを思い出します。私の場合は、昇格したときにおきました。自分が思うよりもずっとその「役職」には力があり、前と同じように相手に接していては前のような素直なフィードバックは得られなくなっていたのに、それに気づいていなかったのです。よくよく、気をつけないといけません。
3. アサーティブ
ノンアサーティブでもアグレッシブでもない「自分も相手も大切にするやりとりの自己表現」を「アサーティブ」と言います。
アサーティブな自己表現ができると、以下のようなポジティブな状況がうまれると言われています。
- 行き違いのないメッセージを交換できる
- 相手から好感を持たれる
- 風通しのよい組織をつくれる
- 自己表現を通じて自信が育まれる
アサーティブな伝え方をするためのマインドとDESC法
では、アサーティブな伝え方をするにはどうしたらいいのでしょうか?マインド面と具体的なステップであるDESC法について説明します。
1. 必要なマインド
マインド面では、以下7つのポイントがあるそうですが、個人的には「③ 自分の考えや思いを把握する」は、特に重要だと思いました。
- 人は皆一人ひとり違うので、ズレる可能性があることを理解する
- だからこそ、話をしっかり聴く
- 自分の考えや思いを把握する
- 伝えようとすることに、躊躇しない
- 相手の反応への準備をする
- 自己肯定感を持つ
- 常識(人は〜であるべき)にとらわれない
2. DESC法とは
D:Describe - お互いが共有できる事実を客観的に描写する
非難や攻撃はせずに、相手と共有できる事実を客観的に描写する。言動レベルであって、内心や意図とは異なります。
例:(昇給交渉をするシーンで例を記載します)私の会社の給与は業界標準からすると低いという事実がある
E:Express - Dについて自分の気持や考えを表す
相手を困らせたりすることは避けましょう。どちらかというと「弱さを見せる」ことを意識しましょう。「私は〜〜と思う」「私は〜〜と感じる」という言い方で、「普通〜〜〜ですよね」「みんな〜〜〜だと言っている」は避けましょう。
例:この事実を知って、私はショックを受けました。
S:Specify - 要求を特定し提案をする
自分の要求を特定し(具体化し)、簡潔にはっきり提案する。要求をそのまま要求で伝えるのではなく「提案」として伝えることが大事。
例:私の給与を業界標準レベルに引き上げてもらうことはできないでしょうか?
C:Choose / Consider - 相手の反応を予測し選択肢を示す
相手の反応(例えばYES / NO)を予測し、積極的な選択肢、もしくは相手が選びやすい選択肢を設ける。ここで大事なことは、相手への歩み寄りの姿勢を持つことです。
もし、予測した相手の反応が実際と異なった場合は、DESに戻って再度トライしましょう!
例:選択肢は①すぐに昇給②課題をいただき、その課題を乗り越えられたら昇給③今年度の会社業績と連動して昇給ーーとありますが、いかがでしょうか?
まとめ:自分の考えや思いを持ってトライ!
自己表現の方法は、育った環境やその時の状況など、いろいろな影響を受けて変化せざるを得ないものだと思います。完全な正解もなく、時にはアグレッシブやノンアサーティブな伝え方が必要なこともあるでしょう。
だから、考え方や方法が分かったらあとはトライあるのみではないでしょうか。自分の考えや思いをもち、それを伝えたい人をどんどんつくっていきましょう。そのうち、自分にしっくりくる方法が分かると思います。それが、一番大事だと思います。
自分の考え?自分は何か伝えたいことがるかな?と思ったら、3つの簡単なセルフクエスチョンから始める「自己分析」をやってみるのはどうでしょうか。興味がありましたらこの記事も一緒に読んで参考にしてみてください。